2012-01-01から1年間の記事一覧

おおかみこどもの雨と雪

「おおかみこども」 言葉の響きとは裏腹に、なんと重い十字架だろう。 背負わされた宿命の中で、それぞれが生きる道を見つけていく。 葛藤の末に、 「人間」として生きることを選んだ雪と、 「おおかみ」として生きることを選んだ雨。 そこに、どちらが正し…

The Lady アウンサンスーチー

「僕らには“ビルマ”という夢があった。 それは何よりも強い家族の絆だ。」 「家族か、祖国か。」 そんな選択を迫られる女性が、世界にどれだけいるだろうか。 彼女のあのか細い身体に背負わされた運命は、あまりに過酷なものだった。 それを支えた夫。 妻の…

崖っぷちの男

集中力を欠いた。 睡魔に襲われ、 途中から完全に話について行けなくなってしまった。 内容が内容だけにリカバリーが出来なかった。 やっぱり映画を見る時は、コンディションを整えておく事が大切だ。 ただ、自分にとってはそうなるべくしてなった作品だった…

BRAVE HEARTS 海猿

「レスキューに必要なのは、スキルと冷静な判断。 そして、ここ(心)だ」 これは面白かった。 純粋に楽しめた。 グイグイと引き込まれ、幾度も鳥肌が立った。 もし本作を、「着水」を基点に前半と後半に分けるとすれば、 後半も良かったが、前半がそれに増…

苦役列車

最初は素直にも見えた貫多が、次第に卑屈にひん曲がっていく。 「もうちょっと上手く生きればいいものを」 そう思わせる場面が随所にあった。 ただ、そこを上手く出来ないからこそ、人間らしく、 見ていて引き付けられるものがあるのだろう。 万事上手くこな…

ぱいかじ南海作戦

突拍子もなく、ぶっ飛んだ話だけれど、 いい意味でのふざけっぷりが面白い。 切なさや悲しさも、巧みに笑いに変えている。 表情が皆良く、南の島の風景と合間って気持ちが良かった。 見ていて自然と笑える作品だった。

星の旅人たち

「人は人生を選べない。 ただ生きるだけ。」 巡礼。 一つの目的地を目指して、ひたすら歩く。 この原始的でシンプルな行為が、こんなにも輝いて見えるのは何故だろうか。 出自も動機もバラバラの人間同士が、 目指す場所を同じくする事で生まれる一体感。 そ…

道-白磁の人-

「たとえ夢であっても、 それに向かって行動する事に意味がある。」 戦前・戦中の日本人と朝鮮人。 支配する側とされる側。 その両者が分かり会う事は、土台夢のようなものだったのだろう。 笑顔を交わした事で分かり会えたつもりになっても、 それは日本人…

幸せへのキセキ

「20秒の勇気を出せ。」 「夢に向かって正直な奴は、誰も止めれない。」 「冒険は素晴らしい。結果がどうなるかは関係ない。」 人と人がいれば、それはぶつかるものだ。 苦境にあればなおさらに。 ただ、ぶつかることからいつまでも逃げていたら、開けない…

ミッドナイト・イン・パリ

「“現在”っていうのは、いつも不満なものだ。 だから人生なんだ。」 かつてあったという黄金時代。 そんな時代の話に触れる度に、 人は憧れ、こう想いを馳せる。 「あの時代に生まれれば良かった。」 まさか、その時代に生きていた人達もまた、 自分と同じ事…

外事警察

「人間を最も突き動かす感情は、怒りだ。」 「子供は親を恨みたくても、恨み切れないのよ。」 「国益」とは何か? そんなものは、100人いれば、100通りの答えがあるだろう。 そんな得体の知れないものに「善良な国民」はどれだけ都合良く利用されてき…

宇宙兄弟

「人間は、一つの人生を生きている。 一遍に二つのことは出来ない。」 「あのロケットを飛ばしているのは、人間の魂だ。 お前のモヤモヤした心も、飛ばすことの役に立つ。」 なんだかんだ言っても、「宇宙」が持つ夢と可能性は果てしない。 宇宙は、最後に残…

ファミリー・ツリー

「家族」を持つということは、決して美談だけでは終わらない。 それは同時に、とてつもなく厄介でややこしい問題を背負い込むことでもある。 まともに向き合えば向き合うほど、それは痛切に感じるのかもしれない。 それでも、一緒に歩く彼らの姿が愛おしくも…

レンタネコ

「きっと、誰かにとって大事なものは、 それがどんなものであれ、1番なんだ。」 「あなたは一体何ランク?」 そんな問い掛けにドキッとしない人もいないだろう。 見た目や世間の評価、そんなものに頼らずに、 自分自身の本心に正直である事は、強く尊いこと…

幸せの教室

突如として「失業」という悲劇に見舞われたラリー。 それでも彼の周りに、嫌な卑屈さや悲愴感がなかったのも、 彼が状況を投げ出さず、諦めず、新しい事に挑戦したからだろう。 そして何より彼は、独りではなかった。 彼の周りには多くの人がいて、 その人達…

中島みゆき歌旅劇場版

「同じ時代に生まれてくれて、ありがとう。」 何よりも、 スクリーンに映し出される中島さんの表情の豊かさに驚かされた。 時に、少女のように無邪気でかわいらしく、 時に、目の覚めるくらいに凛々しく、 そして時に、聖母のように優しく。 まるで別人であ…

わが母の記

「母親に捨てられた」 そう思って生きてきた子供は、 どうすれば母親と素直に向き合うことが出来るようになるのか。 その固く閉ざされた心を開かせるのは、 実は些細なきっかけかもしれない。 日当たりの良い縁側で二人が向き合い、 ボケているはずの母親の…

HOME愛しの座敷わらし

王道のホームドラマだったが 美しい田園風景と合間って、雰囲気は悪くなかった。 ただ思いの外、安っぽい作りにも関わらず、 出演者だけがやたらと豪華であり、 そのせいか、どうもちぐはぐな後味が残った。 いたずらに不要な要素を盛り込むのは、 焦点がぼ…

テルマエ・ロマエ

良くも悪くも よくぞあの原作を映画化したものだ。 映画自体は2時間あるが、見るべきはやはり前半部だろう。 初めて現代日本の風呂文化に触れた古代ローマ人の衝撃を 阿部寛が好演していた。 劇場内にも笑い声が上がっていた。 自身の初体験を思い出せば、 …

ももへの手紙

映画のジャンルは数々あれど、 アニメでしか感じられない感情というのは確かにある。 舞台となった瀬戸内の風景が実に美しい。 訪れた人々を包み込むような温かさがある。 その一方で、妖怪のような不可思議な現象もあってしかるべき雰囲気もある。 実写では…

タイタンの逆襲

この手の作品の肝は、 一にもニにも登場するモンスターの造形と それに対峙する戦闘シーンの迫力だ。 その点に関しては、 前作で感じた快感にも似たインパクトには、明らかに劣る。 親子愛的な要素は別に要らない。 ラストの相手も、 巨大さこそあったが、雰…

ジョン・カーター

半分近く寝た。 映画の嗜好は、人それぞれ。 個人的には、この手の作品はコメントしようがないというか。 コメントし甲斐がないというか。 今回は、すみません。

バトルシップ

「(エイリアンとの関係は)コロンブスと原住民に似ている。 もちろん、俺達が原住民だ。」 エイリアンというのは「見つける」ものではなく、 地球がエイリアンに「見つかる」ものなのだ。 果てしない宇宙のどこかにいるかも知れない宇宙人に地球からメッセ…

アーティスト

色と声を無くすだけで、映画はこんなにも濃密になるのか。 表情は豊かさを増し、動きはより伸びやかになる。 映画の持つ本来の魅力に鳥肌が立った…。 確かにそう思ったが、 それは色も声もあって当たり前の今だからこそ言えるのかもしれない。 モノクロとサ…

スーパー・チューズデー

「クソみたいな政界の中で、 忠誠心は唯一信頼出来る“通貨”だ」 程度の差こそあれ、「理想」を持たない政治家はいないだろう。 そして、一方に理想を叶える「権力」という力が存在する。 もし「理想」が真に信ずるに足るもので、 その両者が一直線で結び付い…

トロール・ハンター

ノルウェーという舞台で、 どこかユーモラスな雰囲気のある「トロール」を 得体の知れない化け物として、ドキュメンタリータッチで迫っていく。 その設定で妙に引き付けられた。 「フェイクドキュメンタリー」という手法。 臨場感という点ではいいが、展開が…

僕達急行A列車で行こう

肩に力を入れずに 自分の好きなものに真っ直ぐ向き合える人は、 やっぱり素晴らしい。 それが回りからどう見られようと気にしない。 出来そうで出来ない自然体な感じに引き込まれた。 いろんな縁で繋がっていく展開も心地よかった。 総じて、画面に悪意がな…

マーガレット・サッチャー

「党を変えたければ、党を率い、 国を変えたければ、国を率いよ」 サッチャーという、自由主義の象徴的な人物を通して、 政治、そしてリーダーの縮図を見た。 現状が良ければ国民はリーダーを讃え、 現状が悪ければ国民はリーダーを叩く。 強ければ強いほど…

ヒューゴの不思議な発明

「回りを見渡してごらん。夢はここで作られるんだ。」 「どんなものにも目的がある。人間だって同じだ。 目的を失ったら、壊れてしまうんだ。」 実に緻密で繊細な3Dだった。 タイトルにうたわれ「不思議な発明」とは、まさしく「映画」そのものだろう。 1…

戦火の馬

「戦争は皆から大切なものを奪うものなんだ」 一人ひとりはそれを理解していても、戦争は起きてしまうものかも知れない。 市井の人々に罪はないとしたら、物言わぬ馬には更に罪はない。 運命に翻弄されていく中で、ありえない様に繋がっていく奇跡の連鎖。 …