ミッドナイト・イン・パリ

「“現在”っていうのは、いつも不満なものだ。

だから人生なんだ。」


かつてあったという黄金時代。

そんな時代の話に触れる度に、

人は憧れ、こう想いを馳せる。

「あの時代に生まれれば良かった。」

まさか、その時代に生きていた人達もまた、

自分と同じ事を思っていたとは知らずに。

黄金時代に生きた人間は、また別の黄金時代に憧れる。

あの時代は良かったと懐古主義を繰り返していけば、まさに切りがないのだ。

結局は、過去に憧れながら、現在を肯定していくしかないということだ。


単なるパリの美しい風景とファンタジックなストーリーだけで終わらず、

さらりとメッセージを織り込む辺りが、さすがウディ・アレンだ。


どんな映画も小説も交響曲も、パリにはかなわない。

そんなくだりも納得出来るほど、パリは絵になる街だった。