わが母の記

「母親に捨てられた」

そう思って生きてきた子供は、

どうすれば母親と素直に向き合うことが出来るようになるのか。

その固く閉ざされた心を開かせるのは、

実は些細なきっかけかもしれない。

日当たりの良い縁側で二人が向き合い、

ボケているはずの母親の口から語られる過去の記憶。

その覚えていてくれた事に思わず息子は涙する。

その瞬間に全てのわだかまりは氷解したのではないだろうか。

印象的なシーンだった。

樹木さんの芝居には、鳥肌すら感じた。