母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。

「死んだ人間の身体って、もっと恐いと思ってた。」

「死ぬのも結構大変なんだな。」

「お兄ちゃんもあんたも私が生んだ最高傑作。」

「遅かれ早かれ人間はいずれ死ぬ。」

「この人だけは絶対に死なないと思った。」

「医者が駄目だと言っても、俺がついていれば大丈夫。」

「生きてるんじゃなくて、生かされてるんだね。空と大地と私達。」

「頑張っているのに、もっと頑張れと言われるのは辛い。」

「早くしないとお袋が消えてしまう。」

「お袋愛しとるよ。お袋の子供で良かった。」

「死について考えるほど、死にはいろんな意味が追加されていく。」

「親の死には子供の人生を大きく変える力がある。」


生かす為の努力から死を受け入れる為の準備へ。

この気持ちの切り替えは相当に難しい。

張り詰めていたものがぷっつりと切れてしまう恐さがある。

ただそれをしないと、為すべき事や伝えるべき事が出来ずに後悔をする事になる。

母のいる世界と母のいない世界。

見た目は何も変わらなくても別世界なのだろう。

親の死には子供の人生を変える力がある。

それは親が子供に送る最後にして最大のメッセージなのかも知れない。