泣き虫しょったんの奇跡

「悲しんでいる人に寄り添える人もいいですが、

喜んでいる人の隣で一緒に喜べる人になって下さい。」

「自分の将棋を反省する事で、自分の将棋が強くなっていくのが快感だった。」

「好きな事を仕事にするのが一番だ。」

「人間になれなかった事を恥じる様に、ひっそりと去っていく。」

「友達を無くす様な指し方をしないとここでは勝てない。」

奨励会は戦場だな。人を殺すんだから。」

「将棋は勝ち負けじゃない。胸を張って、趣味は将棋ですと言いたい。」

「人生は負けたら終わりだが、将棋は負けても次がある。

負けを楽しめないと将棋は指せない。」

「30を過ぎて、再びプロになろうとする事を非難する世界が何処にあるんですか。」

「もう自分の為にだけ戦う将棋は終わったんだろ。」

「勝つ事の喜びを恐れるな。」


誰よりも将棋に打ち込んだ人間が、誰よりも将棋を嫌い憎む様になる。

プロになれない事は、死であり、人間でもなくなる。

プロ棋士とは、それだけ厳しい世界でもある。

本来喜びであるはずのプロへの道を示された時、

躊躇いを感じたのは、その厳しさを痛いほど知っていたからだろう。

前例の無い道を切り開く事。

それは単に将棋が好きという思いや、将棋が強いという力だけでは実現出来ない。

もはや一人の戦いであって、独りの戦いではない。

多くの人の思いを背負うのは、重くもあるが力にもなる。

厳しい勝負の世界であればあるほど、

「負けを楽しむ」という精神は重要なのかも知れない。

将棋の指し手の美しさへのこだわりも感じられた。

短い登場シーンながら、これだけキャスト陣が揃ったというのも凄い作品だった。