町田くんの世界

「私は人が嫌い。」

「今時、人が好きって言ってる奴の方がやばいぞ。」

「世界は悪意に満ちている。」

「青春が凄い速さで過ぎ去っていく。」

「良い意味でいかれてる。」

「一生懸命な気持ちだったから、嬉しかった。」

「俺なんかにちゃんと向き合ってくれた人今までいなかったから。

それだけで前に向かっていける。」

「俺が悪いんじゃない。どうしようもない連中がいるから記事にするんだ。」

「全人類を自分の家族だって思ってる。」

「町田くんといると自分が駄目な人間に思えてくる。」

「さくらさんは大切な人。そうじゃない理由が一つも無い。」

「人間は他人の悪意や不幸が大好きなんだ。安心出来るから。」

「母さんだけが分からなかった。そうなりゃ夢中になるだろ。」

「分からない事があるからこの世界は楽しい。分からない事があるからこの世界は素晴らしい。」

「分からない事から目を背けちゃいけない。真正面から向き合え。」

「誰かを大切にする事は、誰かを傷つける事でもある。」

「君は自分の気持ちを考えないから、人の気持ちも分からないんだ。

もっと自分を大事にした方がいい。」

「好きな人って何ですか?」

「分からないのが恋ってやつか!」


世界は悪意に満ちている。

だからこそ、町田くんの存在が眩しく輝く。

誰もを好きな人間は、誰かを好きになる事が難しい。

立派な人間が全ての人間を救える訳ではない。

立派であるが故に傷付く人間もいる。

それが矛盾を抱えた世界の複雑さでもある。

純粋で悟り切った様な町田くんが、

自分の感情に折り合いがつかなくなり混乱する場面が何とも良い。

混乱や葛藤を経てこそ世界は変わる。

また町田くんの純粋さの前では、自分がさらけ出され周りの人間も変化していく。

人間の本質的な感情と正面からぶつかる姿に胸を打たれる。

人間を愛おしく思い、人間万歳と叫びたくなる様な、

まさに人間賛歌と呼ぶに相応しい傑作だった。