海よりもまだ深く

「どこで狂ったんやろ。私の人生。」

「時代に感謝しないとな。小さな時代に。」

「男は無くして初めて愛に気付く。」

「簡単になりたい大人になれると思ったら、大間違いだぞ。」

「誰かの過去になる勇気を持つのが、大人の男だ。」

「嫌いだから別れたんでしょ。好きだから一緒になったんじゃない。」

「大人は愛だけじゃ生きていけない。」

「男はどうして今を愛せないのかしら。」

「幸せっていうのは、何かを諦めないと手に出来ないものなのよ。」

「海よりも深く人を愛した事がない。だから、こんな毎日を楽しそうに生きていける。」

「なりたいものになれたかどうかじゃない。

大切なのは、そういう気持ちで生きているかどうかだ。」

「花も実も付かないんだけどね、何かの役には立ってんのよ。」


過去に未練を抱いたり、未来に夢ばかり見ていり。

それでいつも満たされない思いばかり感じている。

過去や未来ばかり見ているという事は、一番大切な「今」を見れていないという事だ。

誰もがなりたかった大人になれるわけではない。

それでも生きていくのに大切な事は、今を愛する事だ。

今を見つめ、諦める事で、幸せになれる事もある。

どんなに見栄を張った所で、家族は、そして母親は、全てお見通しなのだろう。

親子の他愛ないやりとりの中にも、他愛ないからこそ、深い愛情が感じられた。

決して大きな事件が起こるわけではないけれど、

深い言葉が目一杯詰まった作品だった。