マチネの終わりに

「過去も未来によって常に変えられている。」

「未来から振り返ったら、この夜も違って見えるんでしょうね。」

「尊ばれないものは、忘れ去られていく。」

「ジャーナリストの仕事は、四方八方からあらゆる事が運命を貫通してくる。」

「出会ってしまった。その事実を無かった事には出来ない。」

「パリは女性が美しく見え過ぎる街だからね。」

「若い頃は先が見えない事を楽しめた。今は先が見えないと恐くなる。」

「孤独とは、影響力を失う事を知る事だ。」

「男の人に惹かれるのに理由は無い。」

「会わないのは愛情。」

「私は蒔野さんが主役の人生の名脇役になりたい。」

「正しく生きる事が人生の目的じゃない。私の人生の目的は蒔野なんです。」


人は必然の上に続く現実ならば、たとえ辛くとも受け入れられる。

ただ、偽りの上に出来上がった現実だと知った時の無念と後悔は計り知れない。

その言葉にならない苦悶の叫びが痛々しいほど伝わってきた。

未来で過去は変えられる。

ただ過去に戻る事は出来ない。

やり切れない過去をも受け入れ、未来の為に前を向く。

最後に笑顔を交わす場面は、大人の清々しさがあった。

正しくない事をして手に入れた人生であっても、幸せだと言い切れる。

そこまで誰かの事を想えるのも見事な生き様だ。

正直、ただの気取った大人の恋愛ドラマなら見てられなかっただろう。

「すれ違い」という仕掛けを通して、させた者とされた者双方の苦悩を描く。

意外にも物語自体が面白く、恋愛ドラマの枠を越えて楽しむ事が出来た。