ファーストラヴ

「動機はそちらで考えて下さい。」

「私をちゃんと罪悪感を感じられる人間にして下さい。」

「大抵の人間は、自分がちゃんと見ていると思う基準が甘い。」

「それはただのセックス依存症でしょ。

母親に愛されなかったから。」

「綺麗な初恋の思い出。

そう思わないと辛いから、そう思う事にした。」

「迦葉と過ごした時間も由紀の一部だ。

今の由紀を作っている大切な一部だ。」

「あなたが悪いんじゃない。大人にそう思わされてきたの。」

「何をされるか分からないのに、

側にいた親は何もしてくれなかった。」

「救ってくれたのは、血を流す事だった。」

「自分の気持ちを出しても良いんだ。」

「自分の気持ちなのに、分からない事が沢山ある。」

 

過去を美化する事。

それは人間に許された自己防衛本能とも言える。

美化しなければ、辛くて苦しくて生きていけない位なら。

但し、過去のトラウマが解決した訳ではない。

真実に蓋をして隠し続けながら生きる事が、

苦しくない筈がない。

過去と正面から向き合い、

導き出された結果を受け入れる所から真の解決は始まる。

辛い過去も今の自分を形成する大切な一部だったと

受け入れる事が出来れば、

前を向いて一歩踏み出す事が出来るのだろう。

必死に過去と対峙する迫真の姿に釘付けにされた。