流浪の月

「私、亮君が思ってる程、

可哀想な子じゃないと思うよ。」

「何でも慣れた方が楽ですよ。」

「物も人も一緒だよ。

出会って、別れて、また出会う。」

「頼れる家族のいない人間には、

逃げ場なんて無いんだから。」

「彼氏なんて社会で生きていく為の必需品でしょ。

友達は判子押してくれない。」

ロリコンじゃなくても、

人生は辛い事だらけだよ。」

「いざって時に逃げる場所が無い人。」

「あんな奴いつまでも

隠れていられる訳無いだろ。」

「やっと文が手に入れた幸せなのに。」

「お前まで俺を捨てんのか!」

「更紗は更紗だけのものだ。

誰にも好きにさせちゃいけない。」

「俺は生きてたから、更紗にまた会えた。」

「文は大人の女の人を愛せる様になった。」

「自分が住みたい所に住めば良いよ。」

「文の知ってる私のままじゃ、

生きて来れなかった。」

「人って見たい様にしか見てくれない。」

「深入りしちゃ駄目だって思う時点で、

深入りしてる。」

「私は何を許されなきゃいけないの。」

「私を好きになってくれて感謝してた。」

「誰が感謝してくれって頼んだよ!」

「苦しい時は一緒に苦しみたい。

文だけが私を好きに出来る人だから。

ただ文の為になりたい。」

「家内さんの事を本気で心配してる人もいる。」

「やっぱり僕は、ハズレですか?」

「いつまでも俺だけ大人になれない。」

 

物事の本質は、外形だけでは分からない。

幸不幸の判断は、本人にしか出来ない。

それでも社会は、容赦無く外形で判断を下す。

自分のせいで、誰かを加害者にしてしまう事は、

時として、自分が被害者になる事よりも辛い。

好意と感謝は違う。好意と大切も微妙に違う。

自分の正義と社会の正義は、必ずしも一致しない。

人間一人一人の正義も各々異なる。

唯一絶対の正義など存在し得ない。

但し自分と異なるという理由だけで、

他者の正義を無条件に否定して良い訳ではない。

自分自身をハズレだと思って

生きていく事程辛い事は無い。

どんな価値観を抱いていようと、

どんな人間であっても、

全ての人間が自分自身を肯定して

生きて行ける世界である事を強く願う。