検察側の罪人

「自分の正義に固執する検事は、必ず犯罪者になる。」

「犯罪を洗い流す雨。そんなものないからな。」

「事実と情報が指し示す方向に逆らう事は出来ない。」

「自分の思い描いたストーリーにこだわり、有り得ない方向に進んでいくのが有能な検事だ。」

「証拠が出ても違う。

そこにケチ付けんのは、事件を解明しようとする人間のする事じゃないだろ。

検事でいる意味が無い。」

「100%嘘をつく人間もいなければ、100%真実をしゃべる人間もいない。

それと同様に100%の正義も無いのかも知れない。」

「白骨街道は、ここ、この時代にも続いている。」


正義と真実は、必ずしも一致しない。

無論、真実が正義である事に越した事は無い。

ただ、正義の為に真実を歪める事があっては、法秩序は崩壊する。

そもそも正義自体が絶対かどうかも疑わしい。

自身の正義の物語に添って、真実を作り上げるのであれば、それは作家だ。

あくまで正義を目指しつつ、真実に立脚するのが検事のあるべき姿だろう。

正義という理想の物語から生まれるのが冤罪でもある。

松倉の造形は、中々強烈だった。

クセのあるキャラクターは、作品の旨味にもなる。

鬼気迫るシーンもあり、演技も光った作品だった。