ジョーカー

「狂っているのは僕か?世間か?」

「この人生以上に高価な死を。」

「あなたの幸せな笑顔が人を楽しませる。」

「仮面無しでは人も殺せない卑怯者だ。」

「ずっと自分が存在しているか分からなかった。」

「何故僕を邪険にするんだ。僕が欲しいのは温もりとハグだ。」

「ずっとハッピーでいる事は難しい。」

「僕の人生は悲劇ではなく喜劇だ。」

「社会の善悪は主観だ。笑えるか笑えないかは自分で決める。」

「僕が路上で死んでも、誰もが踏み付けていく。」

「面白いジョークが浮かんだ。理解されないだろうけど。」


笑顔の裏の涙。

悲しみを帯びた笑顔が何とも切ない。

苦しみを蔑ろにされた人間が負う心の痛みはいかばかりか。

アーサーは、悪に走りたかったのではなく、悪に走らざるを得なかった。

それを個人の弱さと割り切って全否定する事は出来るのか。

彼を追い詰めた人間や社会にも問題はある。

ジョーカーは、決して突然変異の狂人ではない。

誰の中にも潜む苦しみや悲しみを体現する存在であるが故に、

人々のカリスマとなり得たのだろう。

ジョーカーという存在を通して、

人間を悪へと変貌させる社会の歪みを見た。

人は誰もがジョーカーになり得る可能性を秘めている。

現代社会はジョーカーを生み出す可能性を秘めている。

その意味で人間の本質や社会の問題を問う普遍性がある。

ホアキンの演技も素晴らしく、面白く見応えのある作品だった。