閉鎖病棟―それぞれの朝―

「頭のおかしい人にも最近は人権がね。」

「もっと自分を大事にしないと。」

「やっぱり家族は一緒に暮らさないと。」

「ここは不思議な場所だ。だんだん患者という生き物になっていく。

戻れる場所があるなら早く戻った方がいい。」

「俺は社会に出たらあかん人間や。」

「事情を抱えていない人間はいないから。」

「俺達何処にもいけないのかな。」

「ここにはまともな人間はおらんけど、お前は最低のうじ虫や。」

「狂ったまま野放しにされて、何かあったら誰が責任取るんですか。」

「無理して頑張るのが一番駄目。駄目なら帰ってらっしゃい。」


精神を病んでしまった人間をどう見るか。

厄介者として疎むのか。

一人の人間として接する事が出来るのか。

どう見られているかによって、自ずと態度も変わってくる。

自分の痛みや苦しみを理解してくれる人に、やはり人は救われる。

確かに罪は罪だ。

ただ、罪を悪と割り切れ無い事情はあるのだろう。