散り椿

「どんな季節にも風情がございます。」

「民を安ずるのが武士の役目。」

「誰かの為に、命を落としてはなりませぬ。」

「父は優しいが弱かった。弱いという事は、大きな罪を作る事もある。」

「お前にも守るべき者がいるだろう。その想いの分だけ強くあらねばならぬ。」

「正しい道を進む事が、皆を幸せにするとは限らない。」

「散る椿は、残る椿を思えばこそ散っていける。」


時代劇は、人間関係そのものがドラマになる。

人物相関図の中にドラマが凝縮されている。

それがしっかりとつかめれば、ぐっと面白くなる。

人が人を想う事。

その形は、真っ直ぐだけとは限らない。

相手を想うが故に、自分の想いを偽る事も有り得る。

どうすれば相手に生きてもらえるのか。

その想い故の嘘は、時として非常に美しい。

残る者、想いを託される者は、ある意味で自分一人の命ではない。

託された想いの分だけ、生きる義務があるのだろう。

活字だけでは表せない美しさを映像と演技で見せてくれた。

じっくりと染み入るいい作品だった。