三度目の殺人

「理解も共感も弁護には必要無い。」

「犯人が罪と向き合う事を妨げる。真実から目を背けないという事。」

「家賃を払うという事は楽しい事。刑務所では家賃を払わないから。」

「精神医学は、科学ではなく文学だ。」

「殺す人間と殺さない人間の間には大きな溝がある。

それを渡るかどうかは、生まれた時に決まっている。」

「人間の意志とは無関係に、命は選別されている。理不尽に。」

「立場は違っても、同じ司法という舟に乗っている。」

「誰を裁くかは、誰が決めるんですか?」

「あなたは、器?」


司法も真実を明らかにする手段としては、万能ではない。

依頼人の利益、訴訟経済、理想的な物語。

様々な要素が複雑に絡み合った結果として、一つの結論が提示されるに過ぎない。

突き詰めれば、人が人を裁く事など可能なのか。

果たして、真実は何だったのか?

見る者を引き付け、考えさせ、夢中にさせる力があった。

ただ、気持ちが高まった所で、プツっと終わってしまった。

大きな宿題を託された様に。