孤狼の血

「辛抱出来ん性分じゃけん、極道になったんじゃ。」

「人間、一回こっきりしか生きられんのんよ。」

「警察じゃけぇ、何してもええんじゃ。」

「生きる為には、他の生き物も食うのが人間じゃ。食われる前に食う。」

「極道と関わるのは、綱渡りみたいなもんじゃ。

極道側に片寄り過ぎても、警察側に片寄り過ぎても落ちてしまう。

落っこちない為には、歩き続けるしかない。」

「堅気の為なら平気で極道にも手を突っ込む。だから極道はガミさんを恐れとるんじゃ。」


極道と渡り合うには、生半可な覚悟ではやり切れない。

狂気を纏ったあの凄味は、まさにその覚悟の現れだろう。

ただ紙一重のやり合いの中で、極道の側に落ち切らないのは、

堅気の為という警察としての信念を強く持っていたからだ。

かと言って、警察が完全に正義とも言い切れない。

警察の悪に染まらない為の戦いもある。

両者の狭間で生き抜く、孤独な戦いだ。

ずっしりと重く、息が詰まる。

見終わった後に感じたあの疲労感は、むしろ心地良くもあった。