のみとり侍

「男が男を買い、女が男を買うのに何の遠慮がいろうか。」

「下手くそと言われた。必死に積み上げて来たこれまでの人生ががらくたになった。」

「たおやかな花には刺がある。」

「助平なだけでは蚤とりは務まらん。」

「偉い人は、身勝手であてにならん。」


「蚤とり」という仕事の貴賎は関係ない。

「下手くそ」と言わないその言葉に傷付き奮起し、必死に追求する。

その生真面目さがおかしみを醸し出す。

田沼意次から松平定信へ。

腐敗から潔白へと価値観が大きく転換する。

腐敗は無いに越した事は無いが、

生きる楽しみまで奪われては、庶民は息が詰まる。

罪人として捕らえられた蚤とりを皆で守る姿に、

江戸庶民の団結と気骨を見た。