罪の声

「好き嫌いじゃない。ギン萬事件はプライドなんや。」

「真実を明らかにする事に意義がある。」

「ギン萬事件を追う事は、マスコミの責任を問い直す事なんだ。」

「今のあなたの人生は、あなたが掴んだものだ。」

「あのテープのせいで一生台無しや。」

「声の罪を背負っていくのは僕なんだ。」

「警察に社会に日本に見せ付けてやったんや。

この国が如何に空疎か。」

「子供達の人生を壊したのはあなただ。

そんなものは正義じゃない。」

「犯罪で人生を奪われるのは、いつも小さく弱い者達だ。」

 

同じ罪でも与える重さは人に拠って異なる。

自分の意思で事を為し、

結果として受ける罪なら割り切れもする。

ただ自分の意思とは無関係の罪に拠って、

人生を奪われるのはやり切れない。

どれだけ崇高な理由があろうとも、

善意の他者を巻き込む事は罪深い。

自分の与り知らぬ罪に苦しめられる子供達の姿は、

切なく痛々しかった。

史実と史実を繋ぎ合わせて、物語へと昇華させ、

善悪の本質を問う所まで至るのは素晴らしい。

実際に起きた有名な未解決事件を

題材にしている事のリアリティは圧倒的だ。

真相を知りたいという知的欲求に、

ミステリーとしての面白さが加わる。

非常に見応えが有り楽しめる作品だった。