白ゆき姫殺人事件

「記憶は捏造される。

人は、自分に都合のいい様にしか記憶を語らない。」

「お前の記憶と辛い時に想像したことは、誰にも奪えない。」


この世に「事実」は一つでも、「真実」が一つとは限らない。

人は同じ事実に触れたとしても、それをどう捉らえるかは、その人次第だ。

見たいように見て、語りたいように語る。

その事実に関わった人間の数だけ、真実が存在するのかもしれない。

マスコミは、その中から最も「ウケる」ものを選び、「ウケる」ストーリーを作り出す。

それを見た人間も、見たいように見て、語りたいように語る。

そうやって、事実とは掛け離れた「真実」だけが独り歩きを始め、増幅していく。

それによって当事者がどんな目に遇おうと、傍観者はどこまでも傍観者でしかない。

日々伝わってくる情報の脆さと怖さを垣間見た。

また、発する側にとっては無意識の言動が、受け取る側にとっては、決定的な影響を与える事もある。

そのギャップが思わぬ結果を招く事も有り得ると感じた。


人間の心理を巧みに突いてこれだけの物語にした原作もすごいが、

それを破綻させる事なく映像化したこともすごい。

最後まで惹き付けられる良作だった。