祈りの幕が下りる時

「人は嘘をつく。自分を守るため。誰かを守るため。嘘は真実の影。」

「人間誰しも心に傷を持っている。だから、一見だけじゃわからない。」

「親は子供のためなら、自分の存在を消す事も構わない。」

「お前の未来は、俺の宝だ。」

「嘘は真実の影。ただそこにあるのは悲劇ばかりではない。

嘘が映すのは、人間の心そのものだから。」


ある人物の思いを語るのは、本人だけとは限らない。

その人の愛した人は、どんな人だったのか。

またその愛したの愛した人は、どんな人だったのか。

それを知る事で、その人自身の思いに触れる事が出来る。

未知の犯人を追う事件捜査とは、

人間と人間のつながりを知り、

人間そのものを知っていく事に等しい。

誰よりも強く願う子供の幸せにとって、

親である自分の存在が何よりも邪魔になるというのは、切な過ぎる。

ここに登場する嘘には、人の人に対する様々な思いが詰まっていた。

新参者が描くのは、華麗な犯行方法でも、巧みなトリックでもない。

徹底して人間の心、事件の背後にある人間の心だ。

だからこそ、単なる謎解きミステリーとは違った魅力があるのだろう。