白鯨との闘い

「俺達がお前の家族だ。楽しい時も、つらい時も。」

「悪魔が好むのは、語られない秘密だ。心の奥底にある苦悩だ。」

「いつ死ぬかわかっていると得だ。準備が出来る。」

「船乗りは、貴重なものを捨てはしない。」

「その時の強さが今も生き続けている。」

「どの業種も、成功がリスクに脅かされてはならない。」


極限の状況に置かれた人間は、何を思い、どう行動するのか。

極限時の決断を、平常時の倫理が裁けるのか。

もしこれが九死に一生を得た生還の美談であったなら、

どんなに辛い経験であったとしても、生存者をこれほど苦しめる事はなかったのだろう。

罪の意識こそが人間を苦しめる。

語る事の出来ない真実は、語る事でようやく苦しみから解き放たれる。

何故これほどの危険を冒してまで、鯨を追い求めたのか。

ラストでようやく腑に落ちた。

まさか土から油が出てくる事など、信じられない時代がかつてはあったのだと。

これは単なるアクション映画でも、モンスター映画でもない。

これらを手段にして、人間の核心を問う作品の様に思えた。

とても良かった。