ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男
俺もそれなりに幸せだった。 でも幸せというものは、退屈なんだ。
「ローリングストーンズ」
おそらくほとんどの人がその名前ぐらいは知っているはずだ。
しかし、「名前ぐらいは知っている」位のほとんどの人は、
というかつてストーンズを作り、
やがてストーンズから去って行った男の存在を知らないかも知れない。
数年前、この映画が公開された時、
自分自身その存在は知らず、ストーンズ自体も名前ぐらいしかほぼ知らなかった。
にも関わらず、当時から自分の中に強い印象を残していた。
あまりにも有名なバンドに隠れた「死」というギャップがそうさせていたのかも知れない。
かつてリーダーと呼ばれていながら、次第にそのグループから居場所を失っていく。
すでにそこに居場所がないことを誰よりもわかっているのは、他ならぬ本人自身であり、
にも拘らず、引くに引けない背後にあるのは、まさに「プライド」であり、
その狭間で揺れ続ける葛藤が見ている者を強烈に惹きつける。
「わかっている。わかっているけどやめられない。」
文字にすると実に陳腐に見えてしまうそんな感情。
「現実」と「プライド」
そこに生まれる葛藤を描いたものが、結構好きだったりする。
見ながら、
特典として納められたインタビューの中で
監督のスティーブン・ウーリーが言っていた。
「常に何かを求めていると幸せが見えない。
私たちが満足して幸せになれるのは、彼らアーティストたちが奮闘したおかげだ」
「幸せを与えると幸せになれないのかも知れない」
幸せを与えるものは幸せになれない。
この皮肉な公式は、見る者に「幸せ」の本質を問いかけている。