母と暮せば

「悲しい事はようけあるけん、出来るだけ笑う様にしとる。」

「おばさんによっ掛かられて、私も生きている。」

地震津波は運命でも、防ぐ事が出来た戦争は運命じゃない。」

「町子の幸せは、僕だけじゃなく、原爆で死んだ何万人もの人々の願いだ。」

「生きている事が申し訳ない。」

アメリカは不思議だ。あんなに素晴らしい映画も作れば、原爆も作る。」


先に死ぬ者と後に残される者。

それを運命として納得出来るものと、そうはいかないものがある。

天災とは違い、人が起こした戦争で死ぬという事は様々な葛藤を残す。

戦争で死んだ誰もが、戦争から生き延びた人の幸せを願っている。

もしその想いを伝えられたとしたら、

生き延びた事に後ろめたさを感じながら生きている人達にとって、

どれだけ救いになるか分からない。

戦争で生き延びた人間は、戦争で死んだ人間の分まで、

幸せに生きる権利と義務を負っている様に思えた。

たとえ見ず知らずであったとしても。

思わず涙が零れた。