羊の木

「田舎じゃ一年に二歳年を取る。」

「大事なのは、居場所がある事だ。」

「丁寧にやるのはいいけど、それじゃいつまで経っても終わんないよ。」

「私は、私が恐いです。」

「ある日突然馬鹿だったと気付く。ただその時はもう遅い。」

「人が肌で感じる事は、大体正しい。」

「大体、わかったから付き合うんじゃなくて、わかりたいから付き合うんでしょ。」

「僕も僕以外になれないから。」


自分の素性が知られたら、自分は居場所を失う。

周囲に溶け込めば溶け込むほど、その不安と恐怖は強くなる。

偽りの中で生き続ける事は、どれだけ苦しい事か。

ただ、素性を知ったとしても受け入れてくれたとしたら、

外見や偏見を越えて受け入れてくれたとしたら、

それがどれだけ救いになる事か。

理髪店とクリーニング店のシーン。

意外にも心温まる展開にぐっと来た。

奇抜な設定と様々な人間が交錯する前半は、引き込まれたし非常に良かった。

ただ人物が絞られてくる後半にかけて失速してしまったのは残念だった。