モーターサイクルダイアリーズ

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これは偉業の物語ではない

同じ大志と夢を持った2つの人生が、しばし併走した物語である



この言葉で始まり、この言葉で終わるこの作品は

若き日のチェ・ゲバラが相棒と二人で体験した南米放浪の旅を描いている。


今年の最初に見たゲバラを描いた2部作。

それを見たことで、ゲバラに対する興味は大いに刺激されることとなった。

ただ以来、どうしてもすっきりとしないものがずっと残っていた。


「なぜゲバラは、祖国でもない国の革命に参加したのか?」

「なぜゲバラは、地位と名声を手にした後でも革命に身を投じていったのか?」


確かにあの映画では、自分の中で腑に落ちる答えを得られていなかったような気がする。


そして今回見たこの作品で、その答えが見えた気がした。


ある旅先で出会った貧しい夫婦からの問いかけにゲバラが答えるシーン


夫婦 「仕事を探してるの?」

ゲバラ 「いいえ、違います」

夫婦 「じゃあ なぜ旅を?」

ゲバラ 「旅をするためです」



生きていくことに必死の人間からすれば、この答えは理解しがたいものかも知れない。

ただこの言葉は、「旅」というものの本質を捉えているようにも思える。

「旅をするための旅」

しかし、その旅は、確実にゲバラの中の何かを変えていく。

否応なく突きつけられる現実が、後のゲバラを作り上げていく。

「革命の英雄」のルーツをここに見た気がした。


そして印象的なシーン。

ペルーのあるハンセン病患者の島を訪れた時。

そこでは、患者に触れる時は手袋をつけるという規則になっていた。

ただゲバラたちはそれを拒否し、素手で患者と握手を交わす。

最初は戸惑った患者たちも、やがてその人柄にひかれていく。

ゲバラの人となりが、よく表現されたいいシーンだった。




余談にはなりますが、

5月末に行われる映画検定合格に向けて、地味にコツコツ勉強中なのですが、

やればやるほど、知れば知るほど、映画の持つ奥深さを痛感させられます。

知らない事が山ほどある。

100年という歳月をかけて生み出されてきた“映画”という海は、果てしなく広く深い。

とても「知り尽くす」なんてできない。

ちょっとした絶望感に襲われながらも、こうも思います。

映画を好きでいる限り、死ぬまで「退屈」とは無縁でいられる


それはある意味、とても幸せなことなのかも知れません。