ASIAN JAPANESE

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「ASIAN JAPANESE」という本を知っていますか?



この本、一年前にその存在を知り、半年前に手に入れ、

そして今日まで、読めずにずっと本棚にしまってあった。

映画であれ、本であれ、人であれ、

「これに触れると、自分に対して何か決定的な影響を与えられてしまう」

そういう物のというのは、直感的にわかるもの。

この本もまさにそのもの。

「読みたい」「読まなければ」とずっと思いながら、

どこかで“怖さ”を感じて読めずにいた。


実は、この週末、静岡の方に小旅行に行っていました。

今に思うと、この本を読むためにわざわざ出かけたんじゃないかと思う。

なんだか日常の中では読めない気がしていたから。


かいつまんでこの本を紹介すると、

23歳で会社を辞め、アジアに旅に出た著者が、

旅先でであった日本人を写真に収め、その声を聞きまとめたもの。

こういってしまえば、それまでだか、その内容は実に多彩で深い。


さらに言うと、その写真と構成がとても素晴らしい。

この本には、ひとつの項で一人の人を取り上げ、一枚の写真を載せている。

ここに掲載された写真を見ていると、

人間誰しも一人ひとりに名前があるように、

人間誰しも特有の「写真の撮られ方」があるように思えてならない。

「この人」写真に表すとしたら、

この場所、このポーズ、このアングル、この視線…

これ以外に考えられないと思ってしまう位に

一枚の写真がその人物のすべてを表現しているかのように思えてくる。

見る側にそう思わせること。

「写真家」に必要な核となる部分はそこかもしれない。

そしてその構成。

各項目の中で、その写真が登場するタイミングは一様ではない。

冒頭でもなければ、最後でもない。

ここぞというところで挿入される。

写真の前までは、その人物像を独自に描き想像しながら読み進め、

写真の後からは、その像にリンクさせながら読むことができる。

写真と文章の代替ならざる構成というのを感じさせてくれる。


ちょっと話が逸れてしまいました。


これらの事もさることながら、

この本の最大の魅力は第2部の「再びの彼ら」

旅を終えてから数年。

彼らにとって「あの旅」とは何だったのか?

それを振り返っている。

旅の途上ではなく、旅を終えた後で、客観的に振り返ることで、

「旅」とは何なのかという本質が見えてくる。

「旅」とは、果たして「伝家の宝刀」になりう得るのか?

これまで求め、恐れていた答えが、そこにはあった。