サイレント・トーキョー
「人間には先入観がある。それが一番捜査の妨げになる。」
「爆発が見たいというのが心理だろう。」
「身体の傷は治っても、心の傷はそうはいかない。」
「爆破予告が出ているのに渋谷に行くなんて、
日本人位だろう。平和ボケだ。」
「爆破したのは、無関心な日本国民だ。」
「世界に確かな正義は無い。」
「この国の総理と総理を選んだ日本の国民に教えてやりたかったの。
私の夫を殺した戦争というものを。」
「不様でもいい。お前はお前の守りたいものを守れ。」
「爆弾はまだあります。あなたのすぐそばに。」
安易に強硬論を語る指導者。
無知無関心で享楽に耽る国民。
寝ぼけた両者の目を覚ます強烈な一発だった。
危険を告知されているにも関わらず、根拠無き楽観に躍る。
観る側の苛立ちを最高潮まで高めた上で、
振り下ろされる容赦無い鉄槌には留飲が下がる。
危機に対して鈍感でいる事の代償を鋭く突き付けられた。
社会性を内包しながら、
贅肉の無い仕上がりが良かった。