ひとよ

「お前達を苦しめた父ちゃんだから、母ちゃんやってやった。」

「これからは好きに暮らせる。自由に生きていける。何にだってなれる。

今母ちゃんは、とっても誇らしいんだ。」

「求められている事をちゃんと理解しろよ。」

「俺達はずっと親子だから。」

「外から見たらおかしいぞ。こんな家族。お前もその一人だろ。」

「散々嫌な目にあったんだ。飯の種ぐらいにはさせろ。これを踏み台にして小説家になる。」

「母さんは母さんだろ。」

「私が私のした事を疑ったら、子供達が迷子になるから。」

「あなたが悩んでいるなら、それは私の問題でもあるの。私達は家族でしょ。」

「巻き込まれてやれよ。くだらなくても。」

「ある人にはなんでもない一夜かも知れないが、ある人には特別な一夜にもなる。」

「父さんを殺してまで母さんが作ってくれた自由だから。」


喜びや幸せを共有するだけが家族なのではない。

苦悩や辛さをも共有出来る事が家族の強さでもある。

子供の為にした事が結果的に子供を苦しめる事になる。

それでも自分のした事は間違っていなかったと言い切る。

安易な転換は様々なものを否定する事になる。

子供を迷子にさせないという言葉に、母親としての強さを見た気がした。