キングダム2 遥かなる大地へ

「奴隷から抜け出すには剣しかない。」

「平地戦で丘は城に匹敵する。」

「歩兵が五人一組になって戦う。

これは立派な戦法です。」

「私の命はただ仇を討つ為だけにある。」

「一の火が十を動かし千に繋がり万を崩す。」

「全ては勝利の為。それが軍というものだ。」

「思いっきり笑ってみたい。」

「無理じゃない。

お前はまだ生きてるじゃないか。」

「死んだ仲間が築いた橋を渡って来たのだ。」

「勇猛と無謀は違う。履き違えると早く死ぬ。」

「戦場は智略が全てではない。

本能が勝る事もある。」

「たった二人がこんなにでっけぇ戦を。」

「これだから止められんのだ。戦は。」

「お前はもう俺達の仲間なんだから。」

 

広大な戦場。膨大な兵士。

圧倒的なスケール感こそ

キングダムならではの醍醐味だ。

加えてアクションの切れ味。

一人で大人数を切り倒す

羌瘣の戦闘は見ていて心地良い。

上から率いる者。

中間で支える者。

下からのし上がる者。

登場人物の中に格好悪い人間が殆ど居ない。

各々に魅力的な生き様がある。

自ら先陣を切る将軍は、

憧れの対象として申し分無い。

無論続編も期待したい。

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

「人はお互いに支え合って生きるものよ。」

「あの娘を守るのが俺達の義務だ。」

「科学とは真実の追究だ。」

「人類文明の発展が破滅への暴走だ。」

「怖くなった時は、最後までやり抜く。」

「後悔する事は過去に縛られる事。

大事なのは今何をするか。」

「恐竜は人を映す鏡。」

「互いを認め合って生きる。共存しかない。」

 

意図的に食糧危機を引き起こす事で、

食糧利権を牛耳る。

人間の欲望は非道い事を思い付く。

精神的には純粋な恐竜よりも

邪悪な人間の方が恐ろしい。

恐竜が当然に存在する世界では、

恐竜を未知なる脅威として描く事が難しい。

既に生み出し浸透してしまった生物とは、

理解と共存以外に選択の余地は無い。

巨大恐竜の戦いは、

無ければ物足りずに不満が募るが、

最早物語の主軸というよりは、

お約束の修飾的な意味合いが強い。

作品を重ねる毎に色褪せてしまうのは、

悲しき必然なのだろう。

ならばモンスターアクションに

振り切ってくれた方が満足度は高くなる。

エルヴィス

「家族こそ一番大事よ。」

「彼は禁断の果実の味だ。」

「君は悩んでいた。出口が分からなくて。」

「世界にはあなたの歌が必要よ。」

「大きな成功には、大きな犠牲が要る。」

「大好きは簡単に売れる。

どうせなら嫌う人からも儲けよう。」

「ロックは、白人を黒人の

レベルに貶める手段だ。」

「お前の歌や踊りは神の贈り物だ。

悪い訳が無い。」

「悲しむ時は悲しむ。楽しむ時は楽しむ。

そんな場所だ。」

「暴力は暴力を、抑圧は報復を生む。」

「良い演技には経験が必要だ。」

「人は迷子を利用する。」

「迷子はまず家に帰る事だ。本来の自分に戻れ。」

「世の中が危険な時は、歌に託せ。」

「ツアーの中止は、暴力に負ける事だ。」

「彼はショーの間に受ける愛の中毒になった。」

「本当に彼を殺したのは愛だ。」

 

誹謗中傷を歌の力でねじ伏せる。

歌に力がある限り、人々は魅了される。

熱狂の渦に巻き込むステージは痛快だ。

政治がエンタメに手を出したら終わりだ。

歌手にとって歌いたい歌を、

歌いたい様に歌えない事は辛い。

歌えない辛さを知っているからこそ、

歌える喜びを失うのが恐かった。

命を削ってでも、

立ち続ける価値のある舞台。

エルヴィスを殺したのが

愛だという言葉も頷ける。

トップガン マーヴェリック

「マッハ10が見たいなら見せてやる。」

「未来に君の居場所は無い。

君らパイロットは絶滅する。」

「敵は君らの上限能力を知らない。」

「考えるな。行動しろ。」

「最大の敵は時間だ。」

「過去は水に流せ。」

「僕は教官じゃない。戦闘機乗りだ。

これは職業じゃない。僕そのものだ。」

「海軍にはマーヴェリックが必要だ。

あの若者にもマーヴェリックが必要だ。」

「間違いから学べるから。」

「チームワークがミッションの成功と

君達の生死を決める。」

「長く飛んでいるといつか仲間を失う。」

「教えた生徒に何かあったら、

あなたは自分を許さない。」

「犠牲は一人でいい。」

「勝敗はパイロットの腕だ。」

「君は命の恩人だ。」「父の代わりです。」

 

辛い過去を持つ者ほど、

強く優しくなれる。

過去は水に流すのではなく、

乗り越えて、糧にして、今に活かす。

死と隣り合わせの世界だからこそ、

交錯する各々の想いが心に響く。

仲間を助ける為に、

自らの危険を顧みずに行動する。

頭で考えるのではなく、本能的な衝動だ。

胸が熱くなり、終盤ずっと涙が流れていた。

ドラマを凌ぐアクション。

涙の理由は、凄過ぎるアクションとも言える。

任務の困難さ、手に汗握る緊迫感。

映し出す映像のスピード感と迫力。

空中アクション映画として超一級品。

偉大なる名作の続編という看板は、

最早関係無い。

寧ろ何の色眼鏡も無く、

単体として本作に出くわしていたら、

より満足感は大きかったかも知れない。

兎に角、最高で素晴らしい映画体験が出来た。

シン・ウルトラマン

「バディは互いの信頼が第一。」

「人は互いに支え合う社会性の動物なの。」

ウルトラマンとはコミュニケーションが

可能かも知れない。」

「人間の政治家より交渉が上手い。」

「好奇心は身を滅ぼす。」

「我々は秩序を乱す者とは、

戦わなければならない。」

「外星人と人間。

敢えて狭間にいるから見える事もある。」

「人類が積み重ねてきた叡智も

外星人にとっては取るに足らない常識。」

「禍威獣を目覚めさせたのは、

人類の環境破壊が原因だ。」

「何事も対話による平和的な解決が一番だ。」

「この星の人類にとって自分達は唯一無二だ。」

「人間を信じて最後まで抗うのが私の意志だ。」

「生き延びたいから強くなる。

その為の知恵と力と勇気でしょ。」

「絶望は人を貶める。

希望を持っていた方が気分が良いでしょ。」

「地球を売り渡す様な人間はいない。」

「地球は人間みんなのものなんだ。」

「私が欲しいのは、地球の心だった。」

 

人類が宇宙で最高の知能を

有していると考える事が驕りだ。

他の星から地球に来る場合、

侵略を目的としている方が普通だ。

他の星から他の星の生物を守ろうとする

ウルトラマンこそ稀有な存在だ。

侵略の手段は、暴力だけに限らない。

理性や心を狙われた時にこそ、

人間の真価が問われる。

ウルトラマンに込められた

深いメッセージに思い至る。

特撮やアニメは日本の強味。

庵野秀明の生み出す世界観は、

ハリウッドとは質感が異なる為、

比較対象とは別の満足感を味わえる。

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス

「夢は別の宇宙の自分を覗き込む窓。」

「家族の絆は、いつまでも続くの。」

「彼女は欲しくもないパワーを

持ったせいで追われている。」

「私は怪物じゃない。母親なの。」

「善人の私だっているんだ。」

マルチバースにとって最も脅威なのは、

ドクター・ストレンジなんだ。」

「世界にヒーローは必要。」

「一度道を踏み外しても、

一生踏み外す訳ではない。」

「メスを握らないと気が済まない。」

「現実同士がぶつかったから崩れている。」

「悪霊を使えばいい。」

「今の私は殺しても死なんぞ。」

「自分を信じろ。」

「あの時があるから今があるんだ。」

「彼等を愛すると誓う。」

「あらゆる宇宙で君を愛してる。」

「怖れと向き合って。」

「世界を救えば幸せかと思ったが違った。」

「共に苦しむ仲間がいる。」

 

別々の世界観を有した物語が

同一の物語の中で描かれる醍醐味は、

スパイダーマンで体感した。

多次元を往来して戦闘を繰り広げる

設定自体は面白い。

別の次元に存在する

別の自分との邂逅場面は見所だ。

但しマルチバースを楽しむ為の大前提は、

個々の世界観を知っている事。

未知の世界が幾ら融合しても

十分な満足感は得られない。

怪物の造形を含め

映像の迫力は中々良かった。

流浪の月

「私、亮君が思ってる程、

可哀想な子じゃないと思うよ。」

「何でも慣れた方が楽ですよ。」

「物も人も一緒だよ。

出会って、別れて、また出会う。」

「頼れる家族のいない人間には、

逃げ場なんて無いんだから。」

「彼氏なんて社会で生きていく為の必需品でしょ。

友達は判子押してくれない。」

ロリコンじゃなくても、

人生は辛い事だらけだよ。」

「いざって時に逃げる場所が無い人。」

「あんな奴いつまでも

隠れていられる訳無いだろ。」

「やっと文が手に入れた幸せなのに。」

「お前まで俺を捨てんのか!」

「更紗は更紗だけのものだ。

誰にも好きにさせちゃいけない。」

「俺は生きてたから、更紗にまた会えた。」

「文は大人の女の人を愛せる様になった。」

「自分が住みたい所に住めば良いよ。」

「文の知ってる私のままじゃ、

生きて来れなかった。」

「人って見たい様にしか見てくれない。」

「深入りしちゃ駄目だって思う時点で、

深入りしてる。」

「私は何を許されなきゃいけないの。」

「私を好きになってくれて感謝してた。」

「誰が感謝してくれって頼んだよ!」

「苦しい時は一緒に苦しみたい。

文だけが私を好きに出来る人だから。

ただ文の為になりたい。」

「家内さんの事を本気で心配してる人もいる。」

「やっぱり僕は、ハズレですか?」

「いつまでも俺だけ大人になれない。」

 

物事の本質は、外形だけでは分からない。

幸不幸の判断は、本人にしか出来ない。

それでも社会は、容赦無く外形で判断を下す。

自分のせいで、誰かを加害者にしてしまう事は、

時として、自分が被害者になる事よりも辛い。

好意と感謝は違う。好意と大切も微妙に違う。

自分の正義と社会の正義は、必ずしも一致しない。

人間一人一人の正義も各々異なる。

唯一絶対の正義など存在し得ない。

但し自分と異なるという理由だけで、

他者の正義を無条件に否定して良い訳ではない。

自分自身をハズレだと思って

生きていく事程辛い事は無い。

どんな価値観を抱いていようと、

どんな人間であっても、

全ての人間が自分自身を肯定して

生きて行ける世界である事を強く願う。