聖の青春

「牛丼は吉野家じゃないと意味が無い。」

「住んでいれば、部屋の方から似合ってくる。」

「一番を目指さなきゃ駄目だ。思っているだけじゃなく、どうすればなれるかを考えて。」

「将棋は殺し合い。将棋指しの人生はそれが全てだ。」

「誰でもいつか死ぬ。そんな事より僕たちが考えなきゃいけないのは、目の前の一手だ。」

「第二の人生?それは負け犬の遠吠えだ。」

「今日私はあなたに負けて死にたいほど悔しい。負けたくない。それが全てです。」

「こんな体でなければ、将棋にも出会ってなかったし、あなたと戦う事もなかった。神様のする事は予測不能です。」


負けたくない。

その一点において、彼は真っ直ぐだった。

だからこそ、最後の最後まで腐らずに戦えたのだろう。

勝負の世界において、同情は救いにならない。

容赦無く打ち負かす事が救いにも成り得る。

多くを語らずとも、羽生と村山が通じ合えていたのは、

勝負というものの本質を共有していたからだろう。