ハクソー・リッジ

「人の命を奪う事以上に、重い罪は無い。」

「息子の墓参りはごめんだ。」

「お前が何を信じていようが、戦争では通用しない。」

「戦争とは人を殺す事だ。人殺しが戦争だ。」

「銃を持たない兵は、信用出来ない。」

「皆は戦い、私は助ける。

人と人が殺し合う中で、一人位助ける人間がいてもいい。」

「銃を持たずに戦火に飛び込むのも、君の自由だ。」

「平時には息子が父親を弔い、戦時には父親が息子を弔う。」

「ここは戦場だ。正気なら、武器を持って戦え。」


人を殺す事が正気とされ、人を殺さない事は狂気とされる。

正気と狂気の価値観が完全に逆転する。

まさにこれが戦争だ。

どんなに綺麗事を並べてみても、戦争の本質は殺し合いだ。

そこへ誰も殺したくない人間が行くというのは、これほどの矛盾は無い。

それでも彼が志願をしたのは、共に戦いたかったからだ。

殺す事だけが戦いではなく、救う事もまた戦いなのだ。

人を殺す者が英雄と讃えられ、人を殺さない者は臆病者と蔑まれる。

この価値観からの転換。

暗闇の中、自らの危険は省みず、たった一人で仲間を救い続ける姿は、英雄と呼ぶのに相応しいだろう。

戦場シーンには、余計な筋書きも台詞も必要無い。

双方が勝つために、必死になってひたすらぶつかり合う。

生々しい映像が全てを物語っていた。