蜩ノ記

「歴史とは、善き事も悪しき事も、子々孫々に伝えてこそ、世の規範となる。」

「生きていれば、必ず生き火はどこかに隠れている。大切な事は、吹き続ける事だ。」

「縁が結ばれるという事は、生きていく支えになるという事。」

「領民の痛みを、自分の痛みとして感じられなければ、家老は務まりますまい。」


御家のため、理不尽も黙して受け入れる。

取り乱す事はせず、それを自身の運命として。

事実をそのまま歴史として書き残す事は、

現在の理不尽をも未来の鏡としてもらうための

ささやかな抵抗でもあり、強い使命でもあるのだろう。

自分の死期が定まった時、それまでの時間をいかに生きるか。

その視点で改めて振り返った時、

「家譜編纂」という行為に込められた意味に気付いた。