引っ越し大名!

「武士とは主の為に命を捧げるのが務め。」

「過ぎた事は変えられなくとも、これからの事は変えられる。」

「女無くして、引っ越しが出来るとお思いか。」

「引っ越しは戦です。」

「整理とは捨てる事なり。」

「身体を保て辿り着くまで。」

「燃やしたものは、全て頭に入っている。」

「これは御公義の理不尽に対する我らの戦です。」

「私は藩に貸すのではなく、この人に貸すのだ。

あれはちゃんと返す人間の土下座だ。」

「待つ苦労もあれば、待たせる苦労もある。」

「この土無しでは生きて行けん。」

「この手の様が越前藩松平家の為に戦った証だ。」


無理難題に対して如何に挑むか。

知恵を働かせ、実現の為に誠意を尽くす。

決して偉ぶる事無く、現状と目的を丁寧に伝える。

真っ直ぐな片桐の姿勢に、人は心を動かされる。

藩とは家だけではなく人。

残る者だけではなく、去る者の心情まで丁寧に描いている所がいい。

だからこそ、ラストに心打たれる。

難問解決の面白さに謀略や戦闘の要素が加わり、

盛り沢山で贅沢に楽しめる作品だった。