記憶屋 あなたを忘れない

「記憶を消したい人がいるから、記憶屋がおるんじゃない。」

「当事者じゃなきゃ本当の辛さはわからんよ。」

「デジタルだと消すのもボタン一つね。」

「忘れた方が楽。忘れるから前に進めるんじゃ。」

「世の中には知らない方が幸せな事もある。」

「罪を許す事も大切だ。」

「好きな人の中から自分の存在が消えるのって辛いね。」

「どんなに悲しくて辛い記憶も絶対に消しちゃいけん。」


記憶を忘れる事と覚え続ける事。

どちらが正しいかは一概に言えない。

忘れて良い記憶と良くない記憶の選別など出来るものではない。

記憶は、恣意的にどうにかするものではなく、自然とどうにかなるものだ。

そう捉らえれば、記憶屋自身が背負う苦しみは計り知れないだろう。