それでもボクはやってない

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怖いのは、「99.9%の有罪率」が裁判の結果ではなく、前提になっている事です。

ようやく見ることが出来ました。


単刀直入に感想を言えば、「大変面白かった!深くて味が濃いという感じ」

「映画として」というよりも、「それでもボクはやってない」というものとして。

正直、見所、思う事がたくさんあり過ぎて、

全て書ききれるか、というより全て把握する事が出来たか、多少不安はありますが。


まず思ったのが、「演出、情報量などディテールが細かくて分厚い作品だな」ということ。

「裁判官は無罪に臆病だ」とか

「傍聴人をたくさん集めるのは、この裁判が注目されている事を裁判官にわからせるため」だとか

これまで、ほとんど知らなかった「裁判の常識」みたいなセリフが随所に見られたし、

被害者の証言の時に衝立みたいなのが用意されるって事も知らなかった。

証言中に検察官がペンをくるくる回しているシーンでは、

なんとも言えない公判中の空気みたいのが伝わってきた。

他にも、ニートだった主役の友人が傍聴を繰り返していくうちに、

いつの間にか裁判に詳しくなり、生き生きしてくる件も面白かったし、

登場するそれぞれの人物が、それなりの厚みをもって描かれているのが、

全体の分厚さにつながっているんだろうと思った。

だからボリューム満載な分、途中長いなと思う箇所はいくつかあった。

被害者の証言するシーンは、裁判としては重要かもしれないけれど、

少しテンポが遅く感じた。

でも、その分、これは何度も見たくなる作品だなという印象は受けた。

多分、もう一度見れば、一回目では見逃していたモノに気が付くに違いないでしょう。

あと、そうそうたる俳優陣の中で、主役の加瀬亮の普通っぽい演技が逆に際立っていて良かった。


単なる娯楽映画ではない。かと言って裁判のハウツーモノでもない。

しっかりとした取材に裏付けされた裁判の勉強になる素材であると共に、

映画としての面白さもある。

「ためになる」ことが映画の良さとは限らないけれど、

見て、何か身につくものの方が、何となく得した気になる。





勝手ながら、何故監督がこの作品を撮ろうと思ったのか、

あえて「インタビュー」などを見ないで、自分の思った事を勝手に書きます。

「日本の裁判の実態を伝えたい」というよりも、

どこかで、刑事裁判というものに触れる機会があって、その現状を見て、

ただ単純に「ムカついた」んだと思う。

自分達がこの映画を見て、感じたものと同じような事を監督自身が、

純粋な感情として感じた。

やはり「動機」の源を探っていけば「感情」に行き着くと思う。


その感情を「映画」という手段を使って表現した。

その才能に感服すると一緒に、激しく憧れますね。



「無実」が「無罪」とは限らない


「裁判」についても、考えなくてはならない事、山ほどありますね。