ゲット・アウト

「他者の文化を体験する事は、貴重な経験だ。」

「君の目で世界を見たい。」


黒人が白人の社会に入って行く時の表情。

一切の感情を消し、うっすらと笑みを浮かべる。

そこで何を言われようが、どう扱われようが、

感情的にならず、全てを受け流す。

そこには、自己防衛としてそうせざるを得ない切なさがある。

何かがおかしい。

終始、画面から漂う違和感。

細かな演出の巧みさはあるが、

一番は、白人が黒人を受け入れている事に対する違和感。

そんなはずはない。

何か裏がある。

少なからず、そう思わされてしまう。

完全に差別の無い世界であれば、こんな違和感を感じる事もないだろう。

見る者の心理を突いていて、作品としては非常に面白い。

一方で、こうした物語が成立する背景に人種差別の問題がある事も考えさせられる作品だった。