グリーンブック

「黒人はどんなピアノでも弾くんだ。」

「この国がこんなに美しいとは今まで知らなかった。」

「何でもやる時は100%の力でやるんだ。仕事の時も、笑う時も。」

「ムクレるな。土地のルールだ。」

「暴力は敗北だ。品位を保つ事が勝利をもたらすのだ。」

「俺は裏街で、あんたはお城だ。俺の生活の方が黒い。」

「黒人でもなく、白人でもなく、人間でもない俺は一体何なんだ!」

「あんたのピアノはあんただけのものだ。」

「才能だけじゃ十分じゃない。勇気が人の心を変えるんだ。」

「個人的な差別じゃない。土地のしきたりなんだ。」

「服装で人を判断してはいけない。」


人の心を変えるのは、才能よりも勇気。

困難を覚悟で南部へ向かったシャーリーの勇気がまず尊い

シャーリーがトニーを変え、トニーがシャーリーを変える。

対照的な二人が旅の過程で徐々に変化していく。

そこにあったのはやはり互いに対する敬意だろう。

偏見を越えて、人間同士が向き合う事で敬意は生まれる。

理由を個人ではなく土地のせいにしている内は、差別は無くならない。

個人が変わらなくては、土地は変わらない。

黒人でもなく、白人でもない。

自身のアイデンティティに苦しむシャーリーの姿が切ない。

だからこそ、最後にトニーの家族に受け入れられる場面では、心が温かくなる。

重過ぎず軽過ぎず、じんわり沁みる作品だった。