デトロイト

「私が選挙で選ばれたのは、世界を変えるためだ。」

「暴力で世界は変えられない。

ただ本当の問題は、あまりに非暴力的であり過ぎた事だ。」

「憎悪の中でこそ、愛を大切にしないと。何としても。」

「警官を敵に回すな。今夜を生き抜け。命を捨てるな。」

「警官の犯罪も犯罪とすべきだ。」

「女が黒人で男が白人だったら、結果は違った。」


まず前提として、警官の職務というものは過酷なものだ。

犯罪者がいるかも知れない場所に乗り込んでいくのは、

相当な勇気と覚悟がいるだろう。

それを踏まえた上で、本作の事件をどう捉らえるか。

暴動の最中で張り詰めた状況であったとは言え、

ほんの些細な悪戯行為が凄惨な事態へと、

一気に突き進む展開には恐ろしさを感じる。

もし警官の側に少しでも迷いや躊躇いがあったとしたら、

何処かで何かしらのブレーキがかかっただろう。

それが無かったのは、自分達が善で相手が悪だと信じて疑わなかったからだ。

そして警官にそうさせたのが、根底にある差別意識なのだろう。

また加えて理不尽に思えるのは、緊迫した現場から時をおいて、

冷静な状態になってからもその意識が続いている事だ。

本来、正義の姿は一つであるべきものだ。

同じ行為であっても、対象によって、結果が異なるのはおかしな事だ。