運び屋

「人は永遠には走れない。」

「ここを出たければ、熱意、摘発、逮捕で名を上げろ。」

「俺は戦争に行ったんだ。お前たちなんか怖くない。」

「人生を楽しめ。俺みたいに。」

「警察に止められて死ぬ確率は想像以上に高い。」

「俺は家族より仕事を優先した。仕事は2番目でもいい。家族が何より大事だ。」

「俺は家では役立たずだ。だから外で評価されようとした。」

「あなたは最愛の人で、最大の苦痛の元だった。」

「側に居るのにお金は必要無い。」

「何でも買えた。ただどんなに大金を出しても時間だけは買えなかった。」


悪事と分かっていながら、彼が運び屋を続けたのは、

大金だけではなく、それが自尊心を満たすものだったからではないか。

他者から称賛され、尊敬される事が無常の喜びだったのだろう。

世間から高く評価される事が、良き夫良き父の条件ではない。

ただ側に居る事が時に家族には必要なのだ。

どれだけ大金を手にしたとしても、過ぎ去った時間だけは買う事は出来ない。

最後の言葉には重みがあった。

老いても若造には負けないというプライドが顔を出すのも中々魅力的だった。