カメラを止めるな!

「出すんじゃない、出るんだ!」

「作品の前に番組なんだ。」


ゼロの状態で作品と対峙する時の高揚感。

これから何が起こるのか、どうなっていくのか。

無知故の興奮はたまらない。

その興奮の中で、徐々に蓄積されていく些細な違和感。

その違和感の蓄積と解消が本作の肝であり、面白さだろう。

作品と番組。

それは似て非なるもの。

完成度よりも成立させる事が命題となる。

生放送でワンカットという縛りをかける事で、

やり直しが効かないという状況を必然的に作り出す。

その中で、トラブルを超えて「成立」を目指すからこそ、

思わぬ知恵や発想が湧き、人間の必死さや本性が露になる。

何度もやり直しが効く状況では、この面白さは出ない。

モノを生み出すという事の大変さや必死な思いを感じられた。

どんでん返しのオチを期待してしまった分、

物語の構造が見えた時点で減退してしまったのは、やや残念だった。

作品には可能な限りフラットな状態で触れる事に越した事は無い。