終わった人

「定年て生前葬だな。」

「俺の人生は家族を養って終わった。小物だな。」

「散る桜 残る桜も 散る桜 by 良寛

「40代の頃は、明日が来るのが楽しみだった。」

「負けた者の気持ちも考えろ。」

「勝ち負けよりも、どう戦うかが重要だ。」

「俺は俺のいるべき場所を見つけたんだ。」

「スーツが息をしている。」

「俺には仕事が必要だ。俺はまだ終わっていない。」

「サラリーマンとして成仏していない。」

「辞めさせるのも愛情だ。」

「思い出と戦っても勝てない。重要なのは、そこからどう生きるかだ。」

「俺が故郷に帰って来れなかったのは見栄だ。」

「パパとママが別れても、私は二人の娘でしょ。」


自分だけは特別だ。

実は、そう思っているのは自分だけで、

また、誰もがそう思っていて、

結局は、皆大差の無い所に辿り着いている。

見栄や世間体、こうしなければ、こうあらねばいけない。

そういうものに何処かで縛られている。

そういうものから解放されて、本来の自分と向き合った時に、

ようやく自分の進むべき道が見つかるのかも知れない。

終わったかどうかを定義するのは、結局は自分自身であり、自分次第だ。

じんわりと沁みてくる作品だった。