羊と鋼の森

「良い羊が良い音を生み出す。」

「調律師は技術だけじゃない。」

「堂々としろ。不安がっている調律師は誰も信用しない。」

「静かな音を際立たせるのが、暗い音だけとは限らない。」

「ピアノは世界とつながっている。この道なら地を蹴って歩いて行ける。」

「夢のように美しく、現実のように確かな文体。 by 原民喜『砂漠の花』」

「僕にもっと才能があれば。奇跡の耳や奇跡の腕があれば。」

「ピアノは弾く者のためにある。調律師がしゃしゃり出るものじゃない。」

「音楽は競うものじゃない。」

「思い上がるな。ピアノはピアニストをどうこう出来るものじゃない。」

「才能とは、好きだという気持ち。諦めない気持ちを持ち続ける事が才能。」

「ピアノで食べていこうとは思わない。ピアノを食べて生きていく。」

「山で暮らし、森に育てられたんだから。」


ピアノとは、実に面倒臭い楽器だ。

ただ、その面倒臭さを超えるものを生み出す可能性を秘めている。

ピアノが再生する事で、人間も再生する。

それを言葉を排し、映像と音だけで表現したシーンは中々良かった。

感覚的で抽象的な要望には、技術だけでは応えられない。

まさしく人間が試されるとも言える。

どんな仕事であっても、それを自分の道と定め、

真っ直ぐ進んで行くというのは尊いものだ。