火花

「相方は相方であって、家族でも友達でもない。強いて言えば、一番近くにいるライバルだ。」

「今日見た事を自分の言葉で書け。」

「表現の場を得る為、発言の権利を得る為、貧困から抜け出す為、必死に闘っていた。」

「たまには他人と話をして自分がどういう人間か知っておく必要がある。」

「世間から逃げているだけ。」

「自分の中に面白いものはある。それを伝えなければならない。

その努力を怠ったら、その面白いものも無かった事になる。」

「俺達がやってきた100本の漫才を、あいつは生まれた時点で超えていた。」

「自分の考えた事で誰も笑わない恐怖。自分の考えた事で誰かが笑う喜び。」

「常識を覆す事に全力を懸けられる者だけが漫才師になれる。」

「漫才師の出すパンチは殴れば殴る程、人を幸せにする。」

「漫才師に引退はない。」

「漫才は一人では出来ない。二人だけでも出来ない。」

「淘汰されていった人間も、必要だった。」


面白くなければ、売れない。

面白くても、売れるとは限らない。

売れるとは即ち、世間と繋がるという事なのだろう。

どれだけ天才的な発想があったとしても、それが伝わらなくては意味が無い。

それを伝えようと必死に努力をする姿が胸を打つ。

笑いで売れるというのは、確かに厳しい。

ただ消えていった人間の存在が無駄だったというわけではない。

全てが笑いの糧になるというのは、挫折した人間を肯定する救いに思えた。

厳しくも温かい作品だった。

今度は文字で味わおう。