22年目の告白-私が殺人犯です-

ファントム・ペイン

無いものが痛むのだから、治療のしようがない。

被害者遺族の苦しみも同じです。」

「法で裁けなくなってから出て来ても、罪は償えないんです。」

「憎しみは、世代を超える。」

「分からないと人は頑張るんだ。

心の穴を埋める為に、必死で頑張るんだ。」

「生きる気力の無い者を殺しても、何も救われない。」


メディアの暴走。世間の空気の暴走。

面白いから、注目されているからという規準が全てになれば、

真実も善悪も置き去りにして、得体の知れない力が生まれる。

価値があるから有名になるのではなく、有名であるから価値がある。

それがメディアや世論の恐ろしさであり、そこを巧みに突いていた。

裁きとは何か?

償いとは何か?

法で裁けなければ、罪は償えないのか。

法で裁ければ、遺族は無念を晴らせるのか。

死を望む者にとって、時効の有無が意味を持つのか。

何をもって、「罪」が「解決」となるか、その判断は簡単ではない。

四者が対峙するまでの運び方と、謎が結び付く流れは、緊迫感があり、爽快ですらあった。

その後の結末は、やや淡泊だったが、あれ以上長くても蛇足になっただろう。

出版、放送、ネット等々、メディアを絡めたミステリーとして、実に面白かった。