家族はつらいよ

「いい音楽には、不協和音が必要だ。

家族や人間関係にも時には不協和音が必要だ。」

「くっつくのは簡単だけど、別れるのは大変なのよ。男と女は。」

「悪いことをしないのが、良い亭主とは限らないでしょ。」

「言葉なんです。気持ちを言葉にして伝える事が大事なんです。」


いくら家族と言えども、

複数の人間が一緒に生活をしていれば、そこにトラブルや揉め事が起こるのは、むしろ当たり前だ。

その不協和音を隠そうとはせず、皆で思い切り響かせ合う。

事態は厄介なのに、その姿がむしろ健全に思えた。

一切揉め事がなく、仲良く平穏である事の方が、実は不自然とも言える。

決して明るい話題でもなければ、面白い事を言おうとしているわけでもない。

真剣に揉めれば揉めるほど、災難が起これば起こるほど、見ている側は笑ってしまう。

深刻な家族会議の最中でも、自分以外の揉め事では笑ってしまう様子が人間らしい。

不幸なのに笑える。笑える事で救われる。

本作はやはり喜劇だ。

喜劇とはこういうものなのだろう。

飾らない等身大の人々の姿が良かった。

中でも橋爪さんが絶品だった。

橋爪さんの偏屈だが人間臭く、どこか憎めない演技は、

見ていて素直に笑えた。

喜劇はいい。

もっと山田監督の喜劇が見てみたいと思った。