ピンクとグレー

「埼玉に来ても団地は団地。世界は何も変わらない。」

「他人になるって何?

誰がどうやって分かるの?これが本当の私だって。

監督?客?自分でも分からないのに。」

「やらないなんてない。

やれることは全てやるの。

やりたいことじゃない。やれることを。」

「他人の事は分からない。それでいい。それがいい。」


他人をわかろうとすればするほど、自分がわからなくなる。

他人になろうとすればするほど、自分が消えていく。

もし他人の全てが分かるなら、それぞれ別の人格である必然性も薄れていく。

分からないこと。

それは肯定してもいいことだ。

他人になることで成り立つ芸能界の特殊性。

その入り交じる虚と実を、映画の技法を巧みに駆使して表現した作品だった。

アイドル作品と侮るなかれ。

しっかり物語として成立していた。