黄金のアデーレ名画の帰還

ナチスが略奪した美術品は、あの戦争の最後の“捕虜”だ。

アデーレは“女王”だ。」

「過去が現在に是正を求めている。」

「私達は、この国の国民になろうと懸命に努力した。

その努力の成果と子供達は、誰にも奪えない誇りだ。」


たとえ現在、それが国の宝であろうと、

それで過去の事実が帳消しになるわけではない。

彼らが取り戻したかったのは、単に絵画だけではない。

その裏で奪われた正義や人間としての尊厳だったのだろう。


「過去にこだわるな」

「未来思考」

やはりそれは、加害者の論理でしかない。

それを被害者に押し付けるのは、加害者の傲慢だろう。

戦前、戦中、そして戦後。

ドイツで何が起こり、どう歩んできたのか。

改めて、知るべきであり、知りたいと思った。


矍鑠としたヘレン・ミレンのはたたずまいは健在だった。