海難1890

「あなたの務めは、爆発の危機を知らせることだ。」

「海で遭難した者は助ける。」

「誰に言われたわけじゃない。村人にとっては当たり前のことなんだ。」

「私が守りたいのは、この村の真心です。」

「人々の真心が国を動かす。」


人が人を助ける。

相手が誰かを問わず、見返りを求めず、ごく当たり前の事として。

それを「真心」と呼ぶならば、真心とはいかに尊いものか。

そして、時代を経たテヘランにて。

トルコの人々が、どれだけ心優しく、どれだけ日本の事を好きでいてくれたとして、

それだけで日本人を助けてくれただろうか。

やはりエルトゥールル号の事があったというのは大きい。

あの村人達が救ってくれたのは、単に人命だけではなく、

その後に連なる大いなる「絆」とも言える。

時代を越えて、国境を越えて、受け継がれる「真心」というのは、

何物にも替え難い貴重な財産だ。