バケモノの子

「人間はひ弱い。それ故に心に闇を宿す。」

「力は見せびらかすものではない。力は優しさのためにある。」

「心の剣が重要なんだ。」

「意味は自分で見つけろ。」

「真似されて嬉しくない親はいない。」


これだけ「バケモノ」とうたいながら、

最終的な敵が人間の心に巣くう闇であるとは。

それだけ人間の心の闇が持つ力の暴走は恐ろしいという事だろう。

ただ、人間が闇を抱く事を決して否定はしていない。

誰の心にも闇は宿り得る。

肝心なのは、その闇に飲み込まれてしまうか否かだ。

心に空いた穴を埋め、闇に打ち勝つ糧となるもの。

それが、これまで自分を育て支えてくれた人々の存在という事だ。

心に闇を抱えた少年が、それに打ち勝つ心の剣を手にいれていく。

その成長の過程が、荒々しくも温かく描かれていた。