柘榴坂の仇討

「人の命は、天命が差配する。

その命尽きるまで、懸命に生きよということだ。」

「姿形は変わろうとも、捨ててはならないものがある。

それを文明というのではござらぬか。」

「私心を捨てて国を思う者を断罪に処しては、

誰も真剣に国を思わなくなる。」


時代は明治へ。

武士にとって、これほど大きな変化もないだろう。

時代が変われば、それに合わせて、人間の本質が変わるわけではない。

死ぬべき場所で死に切れず、それでも生きながらえる事は、

死と同等に苦しい事なのだろう。

行き場を失った魂が、新時代を彷徨い歩く苦悩が伝わってきた。